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食物繊維をたくさん摂ると便秘になる!?
ある中年女性が腰痛になった。そこで、知人に紹介された「モルフォセラピー」を受けてみたのである。すると腰椎と骨盤のズレを矯正してもらっただけで、たちどころに痛みが引いた。ここまではごくありふれた話だろう。ところが矯正で腰の痛みが消えたと思ったら、そのあと久々の快便だったという。この予想外の効果にも彼女はたいそう驚いていた。
実は「モルフォセラピー」では、腰椎や骨盤の矯正のあと、腰痛だけでなく副次的に便秘まで解消される例は珍しくない。背骨のズレは知覚神経だけでなく自律神経にも作用して、交感神経の働きを過剰にする。それが便通にも影響していたのだ。
したがって原因となっている背骨のズレが矯正されれば、自律神経の働きは正常に戻る。つまり交感神経の過剰な働きが抑制され、副交感神経が働き始める。その結果、便秘だった人がいきなり便意を催したのである。
さらに背骨のズレは知覚神経や自律神経に影響するだけでなく、内臓にも直接ひねりの力を加えている。その作用によって、消化器や泌尿器ばかりか婦人科系の臓器にまで異常を引き起こす。だからこそ、腰椎と骨盤を矯正しただけで、便秘や頻尿、生理痛まで改善されてしまうことも多いのだ。
「モルフォセラピー医学研究所」の報告によると、腰椎・骨盤の矯正によって、難病の潰瘍性大腸炎の症状が改善した例もある。潰瘍性大腸炎の症状は、便秘とは逆にしつこい下痢である。しかしその下痢も、背骨のズレによって小腸にひねりの力が加わっていたせいだったと考えれば、この結果にも納得できる。
さて今回は、便秘について別の角度からも考えてみたい。
2、3日便通がない程度の軽い便秘なら、だれにでも経験があるだろう。旅先で食べ物や生活のリズムが変わって便秘になる人も少なくない。咳止めや痛み止め、抗がん剤などの副作用でも便秘になるから、その原因は実にさまざまだ。
医学的には、いわゆる便秘のことを特発性便秘という。この特発性便秘で悩んでいる人の数は相当なものである。老化によって便秘が慢性化する人も多いので、たかが便秘といえどもその患者数は腰痛より多いかもしれない。そのため、メディアで見かける薬や健康食品の広告も、便秘に関するものが圧倒的に多い。
一昔前なら便秘といえばイチジク浣腸と決まっていたものだが、最近はあまり見かけない。どうやらこの2、30年ほどは、便秘解消のトレンドは食物繊維の摂取になっているようだ。
昔とちがって日本人の食性が洋風化し、食物繊維の摂取が減った。そのせいで便秘になり、ひいてはそれががんの原因にもなる。こんな話が常識になっているのである。そして「健康のためには肉よりまず野菜を摂るべし」といわれ続けた結果、食物繊維の摂取はなかば強迫観念化している。
スーパーで行き交う客の買い物かごを見るともなしに見ていると、高齢女性のかごにはステーキ肉が入っていることが多い。それとは対照的に、若い女性のかごにはレタスやブロッコリーといっしょに、必ずといっていいほどヨーグルトが鎮座している。これはヨーグルトに含まれるビフィズス菌で腸に善玉菌を補いつつ、野菜の食物繊維で便通を促す狙いなのだろう。
だが果たしてこの狙いは正しいのか。本当に食物繊維の大量摂取が便秘の解消になるといえるのか。肉食の代表であるアメリカ人が、便秘で悩んでいるなどという話も聞いたことはない。
もう10年も前になるが、消化器学会誌のWJG(World Journal of Gastroenterology)に「食物繊維の摂取を停止または減らすと、便秘とそれに関連する症状が軽減される」という論文が掲載されていたのである。この結論は、私たちが知っている常識とは180度ちがっていた。少々の修正ならわかるが、正反対の結論が出たとなると驚きだ。
それならこれまで私たちが信じこまされてきた説にも、そもそも医学的エビデンス(科学的根拠)はあったのだろうか。実際には、食物繊維を大量に摂取したら、風呂の排水口に髪の毛を大量に流したときのように、腸に詰まって便秘になるのではないか。
確かにわれわれは草食動物ではないから、食物繊維の摂取は本来の人類の食性とはちがっている。食物繊維を摂ることで便通がよくなったという人も、牛乳を飲んでおなかをこわすタイプの人と同じで、単なる体の拒絶反応だったのかもしれない。
モンゴルの遊牧民や北極圏で暮らすイヌイットも、昔は食物繊維をほとんど摂っていなかった。それでも便秘がひどかった様子がないから、上記の論文の結論は私には妥当な気がする。もちろん私は、食物繊維を一切摂るべきではないというつもりもない。しかし盲目的に野菜だけを大量に摂るような食性は、疑問視されてしかるべきだろう。
また医学の常識は、ある日突然真逆に変わるのが常ともいえる。食物繊維の話にしても、再度結論が変わってしまうことも想定できる。だが背骨のズレが便秘に影響していること、この事実だけは今後も覆ることはない。それだけは断言できるのである。(花山水清)
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